◆ 公共健康医学専攻(SPH)専門職修士課程
課題研究
課題研究のテーマとしては学生のバックグラウンドや興味に応じて適宜相談に応じます。これまでも医療政策の実証的評価、世帯の社会経済格差と子どもの健康、パートナー間暴力の健康影響、医師・患者面接の評価、ヘルスリテラシーの理論的・実証的研究など、量的調査、質的研究、文献研究いずれにも対応しています。
社会と健康Ⅰ・Ⅱ/Society and Health Ⅰ・Ⅱ
健康の社会的決定要因(Social Determinants of Health: SDH)へアプローチする公衆衛生活動が世界的な潮流となりつつある。本コースではSDHにアプローチする公衆衛生対策・健康格差対策を実践していくための基礎となる理論とエビデンスについて学ぶ。社会疫学の基本的な考え方からスタートし、様々な分野の最前線で研究を行う講師からオムニバス形式で講義を行う。SDHに関連する実証研究を進めるために必要な因果推論技法の基礎も扱う。社会環境は多様で複雑なため、多様な学生の参加や、各々の視点を生かした議論が不可欠であるため、積極的に参加してほしい。
健康教育学/Health Education
生活習慣・健康行動変容に関する理論を講義でまず鳥瞰した後、各理論のフレームを用いて実践的プログラム立案を行う上での長所・短所・限界点をクラス内ディスカッション・レポートで深める。 This lecture course will provide a quick review of behavioral theories related to health intervention, by applying them to case scenarios. Then, invited lecturers will provide “real world practice” examples for health promotion, with emphasis on marketing, empowerment approach, media message design, and community building. Each frame of theories will be critically discussed for their strength and weakness to help integration of existing frames to facilitate effective health promotion in the community/workplaces.
健康社会学/Health Sociology
社会学を基本軸として、健康を社会的文脈で考察する知的基盤を提供する。具体的には社会学理論を鳥瞰したうえで、健康科学との接点として医療・医師・社会的健康決定要因などを題材として取り扱う。
Will provide sociological theory basis to consider health in social context rather than in bio-medical frame. Specific focus will be put on themes such as social stratification and health, health impacts of built environment and social environment, medicalization and clinical gaze, and sociology of body/embodiment.
◆ 学部課程
社会と健康/Society and Health
健康・医療を、医学的観点から離れて社会的文脈の中で読み返し、社会現象として健康という事象が生成される様を批判的に勉強してもらう。またそれとあわせて、医療という社会行為が持つ意義・行為の成立基序について考察を深めてもらう。
健康教育(職域・地域)/Health Education(in Occupational and Community Settings)
生活習慣行動・健康関連行動がなぜ起こるのか、起こらないのか、健康をめぐる人間行動について、ケースシナリオによるディスカッションを通じて、実践的かつ批判的に理解を深める。医療現場・職場・地域・ならびに国際保健などの異なるシチュエーションを想定してクラス内でディスカッションを展開してもらう。座学は必要最低限に留めるので、能動的な参加を求める。
社会福祉・社会保障論/Social Welfare and Policy
医療・介護・福祉など社会保障に関する各制度の歴史・成り立ち・現状の問題点を学ぶことを通じて、社会保障の基本的理念について理解を深める。単に制度そのものを知識として学ぶのではなく、制度の成り立ちの背景となる社会状況や政治的環境、障碍に対する価値観(もしくは偏見)がどのように変遷してきたか、その社会的・政治的・歴史的必然性や課題を読み取るように試みてほしい。
公共健康科学統合講義Ⅰ/Introduction to Public Health Science Ⅰ
公共健康科学の多面的分野について幅広く基本的概念・知識を講義ならびに小演習・クラス内ディスカッションなどを通じて習得する。
公共健康科学演習Ⅱ/Seminar in Public Health Science Ⅱ
本演習では公共健康科学の実践・政策などにおいてホットなテーマを取り上げ、科学的根拠に基づく政策提案・議論を行うために必要な科学的情報に対するリテラシー、政策をめぐる倫理・価値観に対する感受性、そして提案を行うためのコミュニケーション技術を習得することを目的とする。具体的には今年度は「たばこ」をめぐる議論を取り上げる。
健康科学調査実習/Social Survey Methods in Health Science
本実習では、健康科学研究で頻用される社会調査を取り上げる。しかしその技術的習得を直接のゴールとはしない。社会調査を何の目的で行うのか、異なる手法のなかから何を根拠に選ぶのか、調査を行うときに「自分」と「対象者」をどう位置づけるのか、など社会調査を実施するにあたっての「心構え」を、仮想的な「調査」の実施を通じて体得してもらう。加えて、学術的な仮説の立て方、社会科学的なモデルの作り方についても学ぶ。また、その際に役立つ、基礎的な統計解析手法についても、座学と統計ソフトSASを用いた実習を通じて身につける。